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防爆高温下での絶対湿度検出

防爆高温下での乾燥機に高分子湿度センサが使いづらい理由

①溶剤の影響

溶剤を含んだ粉体の乾燥機の内部環境は、医薬品の場合高くても80℃程度となります。
庫内の温度と湿度を検出して一定に保つことで、より信頼性のある環境下での製品の製造が可能となります。高分子薄膜センサを使用すると下記のような注意書きがありました。
湿度センサの使用環境について
感湿エレメントは吸湿特性のある高分子フィルムと水蒸気を透過する極めて薄い電極から構成されています。そのため、下記の様な物質を含む雰囲気では短期間でエレメントが劣化し、測定不能となる可能性がありますのでご注意ください。
●ケトン系有機溶剤(特にアセトン、シクロヘキサン、メチルプロピルケトン、2-ブタノン等 )
●ハロゲン類(塩素、臭素、フッ素 、クロロホルム、次亜塩素酸、塩化エチレン、塩化メチレン、臭素酸等)
●エステル系有機溶剤(酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチル)
●強酸系物質(硫酸、塩酸、硝酸等)
●アルカリ性物質(アンモニア等)●その他、塵芥・オイルミスト・塩分ミストの多い環境
上記注意書きが示すように有機溶剤が電極の間の感湿性高分子膜に入り込み、正しい湿度を示さなくなってきます。

②粉体の影響

医薬品などの粉は、微粉になると乾燥機内を風に乗って循環することになります。その微粉が潮解性物質となり感湿エレメントの表面に付着するので、周囲の水蒸気を吸収して、正しい湿度を示さなくなってきます。

③温度による影響

使用温度範囲が高温で使用できる高分子湿度センサであっても、吸湿したエレメントの静電容量を測定しているために、高温になると相対湿度が下がり、その領域での水分の付着量が小さくなり、精度が悪くて、湿度制御が出来る値になりません。20℃50%の絶対湿度は7.2g/kgで、80℃の時も7.2g/kgのはずです。その時の相対湿度は2.47%なのですが相対湿度の精度が±3.0%とすると-0.53~5.47%となり、絶対湿度は0~16.3g/kgとなります。
庫内の湿度の制御は絶対湿度で行います。夏場と冬場で同一条件となるように、加湿器を動作させます。この制御の信頼性を得るには、精度が悪すぎます。

乾湿球温度計

高温での湿度を測定するのに、非常に原始的な方法ですが乾球温度と湿球温度を測定して絶対湿度に換算する方法があります。この方法ですと、正確に温度を測定することで精度よく湿度が得られます。また、測定対象が温度だけとなりますので防爆雰囲気の中でも耐圧防爆温度センサが使用でき、キャリブレーションもやりやすい利点があります。通常の乾湿球温度計ですと、湿球側のガーゼ部分に風が当たらないため応答が非常に遅く、ガーゼの巻き方で温度の下がり方が違うという欠点があります。右側のアスマン式湿度計の場合は温度計の感温部に強制的に風を当てるので正確になります。

⑤乾燥機への応用

アスマン式の湿度計の考え方で、乾燥機内の乾球温度と湿球温度を測定する方法が右図のような装置になります。幸い、乾燥機内は常に風が流れているので、湿球温度はある程度正確に出ます。高温環境の中ではガーゼの蒸発速度が速いため、給水に工夫が必要で、ガーゼの頻繁な交換が必要になります。

発信機の仕様は下記となっています。
測定範囲:相対湿度   20~100%RH
温度     0~100℃
精度定格:相対温度   ±2%RH
温度     ±0.3℃
測定条件:通風速度   3m/s以上
温度     0~60°C

弊社の乾燥機に同等の原理の物を組み込んで70℃で湿度の測定を行いました。
測定値 換算値
乾球温度(℃) 湿球温度(℃) 相対湿度(%) 絶対湿度(g/kg;)
加熱前(外気温) 19.7 11.6 36.43 5.18
乾燥温度 70.7 27.7 2.89 5.70
上記の実験は、冬場に行っており幸い外気温度が低かったので、厳しい条件での測定が出来ました。
乾燥温度70℃の中で、湿球温度は27.7℃と温度差が40℃以上もあります。いかに蒸発速度が速いのかが分かります。逆に言うと乾燥機内の粉はこの環境に存在して、水分が飛んでいくということになります。乾燥機は外気を吸い込んで、加熱します。加熱前の絶対湿度の換算値が5.18だったものが加熱後5.70とほとんど変化がありません。
質量基準湿度図表で湿球温度のところで相対湿度100%まで縦軸を伸ばし、交叉するところから断熱冷却線そって乾球温度まで線を引くと、その点での相対湿度と絶対湿度が得られます。測定結果と線図で得られた換算結果とがほぼ一致していることが分かります。結論としては、実用に耐えうる湿度測定方法であるといえます。
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