12.特別仕様
12-1 台車仕様
200D、100A以上の乾燥機で製作出来ます。但し台車のキャスター及びフレーム と、それを出し入れするスペースの分だけ本体が大きくなります。 また、キャスターはSUS304製金具、ウレタン車輪、ブレーキ付きを使用し、乾燥
機に台車を入れるためのスロープレールが付属します。
12-2 GMP仕様 → 医薬向け乾燥機 技術解説
特に医薬品向けの構造で、極力デッドスペースのないように製作します。
突き合わせ溶接構造
乾燥室内部にごみの溜まるような部分がなくなるように、板の継ぎ 目を全線溶接し、バフ仕上げを施す。
内面バフ仕上げ
機械内部をバフ#400の磨き板を使用し、加工部分を仕上げる。
外面バフ仕上げ
機械外面をバフ#400の磨き板を使用し、加工部分を仕上げる。
ファンオープン構造
ファンユニットがヒンジによって開閉し、ランナーを機械の外で洗 浄点検することが可能。
フルオープン扉
扉を開けると乾燥室だけではなく、チャンバー室まで開くので、洗 浄、点検が可能
乾燥前循環ヘパフィルター
乾燥室直前にヘパフィルターを配置し、製品のコンタミを防ぐ
乾燥後循環ヘパフィルター
乾燥室直後にヘパフィルターを配置し、製品のコンタミと乾燥機内 の汚染を防ぐ
ヘパフィルター交換扉
循環ヘパフィルター専用の交換扉、フィルター一次側に設けワン タッチクランプで容易にフィルターが交換できる構造とする。
ヘパフィルター圧損表示用マノメーター
ヘパフィルターの圧損をマノメーターで表示し、交換時期を判断出 来るようにする。
排気遮蔽ダンパー
乾燥機停止時の逆流及び吸湿防止のため、外気と遮断するように密 閉式ダンパーを設ける。通常エアシリンダーで開放、ばねで遮蔽
吸気遮蔽ダンパー
乾燥機停止時の逆流及び吸湿防止のため、外気と遮断するように密 閉式ダンパーを設ける。通常エアシリンダーで開放、ばねで遮蔽
ワンパス循環切り替えダンパー
循環ダンパー全閉、排気ダンパー全開に自動的になるようにアク チェーターを設ける。
トレイ底R型
トレイの底の部分に粉溜りが出来ないようにR加工を施す。
内部完全分解構造
乾燥機内部の仕切り板、導風板、棚アングル等がすべて工具なしで 分解洗浄可能な構造で、取り外してしまうと乾燥室がシンプルな箱
になる。
フィルターについて
乾燥室内に入る空気がが汚れていると製品を汚してしまいます。医薬品の場合は特に厳しく、高性能フィルター(HEPA)を取り付ける場合が少なくありません。フィルターを取り付ける場合、その機械の必要空気量からフィルターの大きさを選定します。また、フィルターの圧力損失に見合うファンを選定して機械を設計しなおします。ですから、乾燥機をそのままにしてフィルターを後から取付けたりすると、乾燥能力が足りなくなる可能性があります。特にHEPAフィルターの場合、定格風量を出すのに必要な風圧は25mmAqと高いため注意が必要です。こういったフィルターを取り付けた場合、そのつまり具合及び交換時期を知るためにマノメーターを取り付けます。また、つまり具合をマノスタースイッチで検出して警報を出すということも可能です。
12-3 防爆仕様
有機溶剤など爆発性の品物を扱う場合や爆発性の雰囲気で使用される場合の仕様です。原則的にはIEC規格を合格した機器を使用し、防爆の考え方にそって設計しています。希望される仕様が防爆に出来ない場合や、特に危険な条件の場合は製作をお断わりすることもあります。
ヒーター加熱防止
スチームヒーターの表面温度をセンサーで検出して、過熱を防止する。
爆発放散口
爆発しても、爆風が爆発放散口以外に吹きでないように、乾燥機を頑丈にし、内圧が 基準値よりも上昇しないように、面積を大きくする。設計基準値として内圧0.2k
g/cm2で開放する。
爆発放散ダクト
爆発放散ダクトが作動したときに、爆風を屋外に逃がし、作業室に影響がないように する。ダクトはストレートとする。
ガス濃度計
接触燃焼式のガス濃度計を取り付け、ガス濃度が爆発下限回の25%を越えると、 ヒーターを停止させる。ワンパス循環切替え可能な装置については、ワンパスにする。
ワンパス運転
ワンパスにして乾燥空気をすべて排気すれば爆発性ガスが熱源と接触しないので安全 である。しかし、循環運転に比べ非常に大きな熱源が必要となる。
静電気対策
機械から静電気を除去するために、アースラグを設けて完全に接地する。接地抵抗は 100Ω以下とする。
制御盤エアパージ
顕在的又は潜在的点火源をもつ電気機器に対して、点火源となり得る部分を周囲の爆 発性雰囲気から保護気体により隔離し、爆発性雰囲気と点火源を共存させないように
する。
耐圧防爆型電磁弁
d2G2の電磁弁を使用し防爆配線を施す。
耐圧防爆型温度センサー
d2G4の温度センサーを使用し防爆配線を施す。
安全増電気配線
点火源をもつ絶縁電線とその接続部を納めた電線管路に対して、絶縁体の損傷、劣 化、断線、接続部のゆるみなど、顕在的点火源になるような故障が起こらないように
機械的電気的に安全度を増加する。
本質安全防爆機器
正常状態のみでなく、想定した異常状態においても電気火花又は高温部が爆発性雰囲 気に対して点火源にならないように消費エネルギーを抑制するものである。
12-4 高温仕様
本体の保温の厚みは標準仕様で50mmです。最高温度が高くなるとそれに応じて厚くなります。原則的には100℃上がるごとに50mm増える計算です。ですから最高温度300℃の場合、50mm×300÷100=150mmとなります。
また、最高温度が200℃以上はファンの軸受けに空冷の羽根が付き、300℃を超えると水冷式軸受けになります。ファンそのものもシロッコタイプでは強度に問題があるため、自家製のプレート式にしています。ただし、同じ直径のものを使用すると風量が小さくなるので、回転数をシロッコと同じ風量になるように上げています。
高温仕様の装置の場合、通常の材質のフィルターでは使用できないため、特殊な仕様のフィルターにする必要があります。HEPAフィルターの場合、最高使用温度が250℃というものがありますが、現在これ以上のものはありません。この場合、メディアの材質が特殊で通過風量が小さくなり、フィルター面積を大きくする必要があるため、構造が難しくなります。
高温用のプレフィルターでは、金属たわしのようなデミスターを重ねてフィルターにしたものがあり、500℃程度まで使用できるようです。性能は捕集効率80%まで可能ですが、非常に高価になります。
12-5 トレイ
底R
標準機のトレイは底皿式の場合、板厚0.7mmで折曲げ加工とスポット溶接だけで製 作しています。医薬品向けの装置では、トレイのすみに溜まった粉が拭き取れないということで、底をRにしています。
材質
材質は通常、SUS304を使用しますが、腐蝕性のある品物を扱う場合など、SUS316を使用したり、テフロンコーティングやホーローのトレイも製作可能です。仕上げは標準品の場合、2B酸洗いですが、ご指定によりバフ研磨をします。
底網、パンチング
通気式に使用される底網式の場合、指定のメッシュの網で製作可能ですがあまり細かい網にすると破れやすく実用的でなくなります。医薬向けの場合、金網は使用せず、パンチングで底を打ち抜いたものを使用し、飛散防止布をかぶせる方法を採用しています。
飛散防止布
比重が軽く飛散し易い粉の場合、飛散防止布に入れて乾燥機にかけます。通常、通気性の良いテトロンの布を使用しています。トレイに蓋をかぶせるような形状のものや袋状にしたり、チャックを取り付けたりということが可能です。
12-6 計装オプション
湿度制御
湿度センサーと加湿器、電圧入力仕様の温度調節器を組み合わせて高精度に行えます。最近では耐熱120℃の湿度センサーも入手可能で、乾燥室内の過酷な条件でも制御出来るようになりました。加湿器も蒸気発生式、二流体ノズル、超音波発信式などがあり、その条件に合わせて選定が出来ます。
ファン回転制御
モーターの回転数を変えて風量を制御出来ます。特に飛散し易い粉などの乾燥に有効です。
排気温度計
排気口の温度を測定して表示、または機械停止をします。
コントロールダンパー
標準のダンパーでは手動で開度を決める形式ですが、乾燥状態の変化にともなって風の状態を変化させたい場合、自動的にダンパーの開度を制御したい場合があります。比例式のコントロールモーターを使用すれば、任意の開度を電気的に設定出来ますので、湿度や品温と連動させたり、プログラム調節器の時間信号で開度を切り換えるということが可能です。
風速計
乾燥機内、排気風量等、ピトー管を取り付けその差圧により風速を計測、電気信号に変える場合開閉演算器を使用
プログラム調節計
設定温度を時間的に変化さる。外部信号でプログラム待機、プログラムの進行に合わせて外部信号出力等が可能。
伝送出力
乾燥温度を電流信号やRS232Cの信号の形で出力
12-7 除湿装置
梅雨時や雨が降って外気の湿度の高い場合、乾燥能力は変化します。特に低温(常温から60℃程度)での乾燥では顕著です。この場合、乾燥機に吸気させる前にあらかじめ空気を除湿する場合があります。除湿室を設け、冷却用熱交換器を設け乾燥機内部で露滴させて除湿する方法と、市販の冷凍式除湿器を使用する方法があります。
12-8 熱源 バーナー式
熱源を電熱、蒸気以外にガスや重油などのバーナーにすることも可能です。ラフなものであれば直火ですが、燃焼ガスが直接品物にあたってはいけない場合はラジアントチューブで間接加熱とします。しかしこれらの場合制御が難しく、特に200℃以下の低温で使用すると温度の上下が大きく、精度を要求される品物には向きません。
12-9 付属品
キャスター、アジャスタ
小型の乾燥機の場合、移動用のキャスターを取り付ける場合があります。また、アジャスタを取り付け、乾燥機と床の間にスペースをとって水が流れるようにすることもあります。
現場温度計
機側に制御盤がない場合、乾燥機内の温度をバイメタル式または隔測温度計で表示
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