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箱型乾燥機における医薬品の処理

8.箱型乾燥機の設計

8-1 箱型乾燥機の選定理由
通乾燥容量、乾燥時間、乾燥温度、乾燥湿度、到達水分、腐敗性、腐食性、熱分解性、吸湿性、熱硬化性、コンタミ、洗浄性、爆発の危険性などさまざまな条件を考慮して、最適な形式の乾燥機を選びます。また、客先の特殊な条件に合わせて必要な機器を組み込んだ形で設計します。通常、大きな能力を必要としないが多品種を扱うため構造が簡単で洗いやすくしておきたい、品物を動かすと壊れるのでそのままの姿勢で乾かしたい、コストをかけたくない、などの条件で箱型乾燥機が使用されます。

8-2 箱型乾燥機の容量
乾燥機の容量は、その乾燥機に入れられるトレイの大きさと枚数によります。例えば弊社の標準機の場合、縦横高さが900×580×35というトレイを使用しておりますが、このトレイ容量は90%の高さまで品物を入れたとして1枚で16.4Lになります。ですから500L程度の乾燥機を作ろうとすれば500L÷16.4L=30.5枚が必要になります。これを横1列に並べたとすると0.58m×31枚=18mの長さが必要になり広い設置スペースが必要になります。縦方向に70mmピッチで積み重ねたとすると0.07m×31枚=2.17mになってこれでは作業できなくなります。2列16段32枚とするとトレイの必要スペースは高さが1.2m、横が1.2m程度で収まります。このようにして、箱型乾燥機のレイアウトを決めています。通気式の乾燥機の場合は構造の関係で段間が広くなります。

8-3 風量の決定
乾燥能力は、その品物に当たる風速が高ければ高いほど大きくなります。しかし、粉体を乾かす場合風速が高すぎると飛び散りますので、あまり高く出来ません。通常並行流乾燥機の場合、風速を1m/s程度、扇風機の弱に合わせて1m離れたぐらいの風速にしています。洗濯ものや器具の乾燥機などはもっと高く設定します。この風速でトレイの上を風が流れるようにファンの容量を決定します。例えば前述の500Lの乾燥機は60・/分の能力のファンを使用しています。循環式の乾燥機で風の流れる部分に抵抗があまりないので、静かで多風量のシロッコファンを採用しています。これは、よく家庭 用クーラーの吹き出しなどに使用されている形 式のものです。

8-4 ヒーターの決定
先に計算された風量を所定の温度まで加熱するに足るヒーターの容量を計算します。熱源には電気、蒸気、ガス、灯油、排熱等があり、乾燥に必要な熱量を確保という意味では、同じ考え方になります。中でも電熱式が最も制御しやすく、構造も簡単になります。
電熱式の場合次の関係式があります。

ヒーター容量(kw)=風量(°/分)×温度差(℃)/47

吸い込まれた空気が乾燥室を通過した後、全て排気されてしまうワンパス運転では、先ほどの乾燥機で乾燥温度が100℃とした場合

60°/分×(100℃−0℃)/47=128kw

となります。なんと家庭用の電気ストーブの160倍です。
通常の並行流乾燥機では、粉の上を風が通過する方法なので、1度だけの通過では熱風のエネルギーが全て乾燥に使用される訳ではないので、空気の温度も下がらず排気してしまうとエネルギーの無駄になるため、特別な条件がないかぎりワンパス運転はほとんどしません。弊社の乾燥機では1割排気、9割循環で設定していますのでワンパスでの必要熱量の10%ということになります。ですから、先の計算の128kの 100%で12.8kwになります。
しかし、これでは必要とする最低の容量なので温度調節が出来ません。ですから20kwに設定しています。
スチーム式の場合も、必要なエネルギーは電熱と同じですから、20kwに相当するエネルギーを伝えられる熱交換機を設計します。ただし、使用条件で値が大きく変わってしまうので、パワーに余裕を持たせます。しかし、大きすぎると低温域でハンチング(設定値に落ち着かずに温度が上下してしまうこと)しやすくなります。弊社の場合、ヒーターを2室に分けて夏場と冬場での吸気温度の変化に対応させるようにしています。

 

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