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2−6 安全対策
1.防爆
製剤の中間過程で有機溶媒が使用されるが、これを乾燥して除去する場合、乾燥機内が爆発雰囲気になる。そのため、乾燥機を安全に運転出来るようにするために、防爆の考え方を適用する。爆発または火災が発生するための条件として、危険雰囲気の存在と、点火源の存在が共存することが必要である。そのため、それらが共存する確率が実質的に0%になるような対策を施すことで、乾燥機の爆発を防止している。
熱源
有機溶媒を使用する場合、熱源は蒸気か熱媒体を使用し、熱源がガスに接触する温度を、ガスの発火点以下にしている。電熱ヒーターを使用する場合、仮に表面温度を制御出来たとしても、機器の故障等で発火点を超えてしまうおそれがあるので、通常は採用しない。
ワンパス運転
乾燥機内に危険雰囲気を存在させないようにする方法として、風の流れをワンパスにして乾燥空気をすべて排気すれば爆発性ガスが熱源と接触しないので安全である。しかし、循環運転に比べ非常に大きな熱源が必要となるので、比較的乾燥時間の長い、箱型乾燥機には向かない。
ガス濃度計
まず、危険雰囲気の存在を知るためにガス濃度計を設置する。ガス濃度が爆発下限界の25%を越えると、ヒーターを停止させ、温度の上昇を押さえる。またワンパス循環切替え可能な装置については、ワンパスにしてヒーター停止と同時に大量のフレッシュエアーを送り込む。こうすれば、乾燥初期において、ヒーターが入らずにワンパス送風運転になり、急速に加熱しなくなり、濃度の上昇が抑えられる。溶剤濃度が下がると循環加熱運転となるが、溶剤発生速度が上がったとしても再び、ワンパス常温運転に切り替えられる。実際には、初期ワンパス運転をタイマーと併用するので、循環運転に入れば、溶剤濃度が上がることは少ない。
爆発放散口
もし爆発したときの対策として、爆発放散口を設ける。爆発しても、爆風が爆発放散口以外に吹きでないように、乾燥機を頑丈にし、内圧が基準値よりも上昇しないように、その扉の面積を大きくする。設計基準値として内圧20kPaで開放する。また、爆発放散ダクトを設け、爆発放散口が開放したときに、爆風を屋外に逃がし、作業室に影響がないようにする。また、その形状はストレートとし、開放したときに、圧力が即時に逃げるように、ベンドにならないようにする。
静電気対策
点火源として、静電気も考慮しなくてはならない。乾燥機から静電気を除去するために、アースラグを設けて接地抵抗が100Ω以下になるように接地し、電気的に浮いた部分がないようにする。乾燥した粉と飛散防止布に静電気がたまることがあり、乾燥した粉体を飛散防止布から取り出す場合に2KV以上になることがある。
防爆機器
使用する防爆機器であるが、原則的に防爆指針に適合した機器を使用し、防爆の考え方にそって設計する。電動機は安全増防爆または耐圧防爆型を採用する。電磁弁、温度センサー等は耐圧防爆型を使用している。配線は安全増防爆または耐圧防爆型としている。
通常、乾燥機が設置される場所は2種場所であるので、電動機、配線などは安全増が採用されることが多いが、電動機を変速するのにインバーターを使用する場合、安全増では対応出来ず、耐圧防爆型となる。制御盤は内圧防爆構造に準じ、エアパージを行い、爆発性雰囲気から保護気体により隔離し点火源を共存させないようにしている。