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4.乾燥空気の計算

送風された熱風は水分を含んだ粉体を通過し、水分を奪う。送風される熱風が含むことの出来る水分は、温度が高いほど大きい。これは、空気の飽和水蒸気量が温度とともに大きくなるということと同じである。
乾燥機内に取り込まれた空気は、ヒーターで加熱され、水分を奪うキャパシティーの大きい状態となって粉体を通過する。奪う水分が多いほど、潜熱が大きくなり、空気の温度が下がる。排気される水分は、もともと持っていた熱風の水分と粉体から奪った水分の和である。乾燥速度の遅い装置や、粉体の水分が少ない場合、奪う水分が少なくなるので、温度が下がらず、水分を奪うキャパシティーが大きいまま捨てられることになるので、箱型乾燥機の場合、排気をリサイクルさせる。
全量循環させると、空気の湿度が上がり、水分を奪うキャパシティーが無くなってしまうので、相対湿度が維持できる量だけのフレッシュエアーを取り込めば良いことになる。
フレッシュエアーの量が少なければ、相対湿度が上がり、乾燥時間が長くなり、多ければその逆となる。乾燥曲線から最大乾燥速度を求め、乾燥機内の相対湿度が低く押さえられる程度の空気量に設定する。

吸気量、及び排気量をQf(kg/h)、循環空気量Qrとすると、熱風空気量Qhは
Qh=Qf+Qr・・・・・・・・・・・・・・・・・1式
図5の熱風Cはフレッシュ冷却後の空気@と循環風Eが混合したものであるので、熱風の水分HC(g/kg)は
HC=(Qf×H@+Qr×HE)÷Qh・2式
排気の水分HDは熱風Cが粉体から蒸発した水分W(g/h)を受け取ったものである。
また、排気Dと循環空気Eの湿度は同じであるから、排気の水分HDは
HD=HC+W/Qh=HE・・・・・・3式
必要とする空気量Qfは上記の式を整理して
Qf=W÷(HE―H@)・・・・・・・・・・4式
となる。すなわち、乾燥速度を湿度の差で割ったものが、最低必要空気量である。
逆に表現すれば、乾燥速度は、湿度の差と、フレッシュエアの量に比例する。
最大蒸発水分量は乾燥実験を行い、乾燥曲線から容易に求められるので、熱風湿度を管理出来れば、排気量を決定する事が出来る。